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第3分科会 個人で生きられる社会・個を尊重する社会をめざして  報告:河野房代
コーディネーター  牟田 和恵 (甲南女子大学教授 佐賀大学助教授)
パネリスト     伊田 広行 (大阪経済大学教員)
          国広 陽子 (武蔵大学教授


社会構造が変化する中で、結婚や離婚に対する考え方が変わり、シングルマザーやディンクスなど、生き方が多様化してきているが、いまだに社会システムはジェンダーが内在する世帯単位システムである。
世帯単位システムから個人単位システムに変えていくことと、今の日本人が持つ家族観が普遍的でないことを認識することで、個人が社会の基本となり、個で生きられる社会、個人が尊重される社会へと変わっていくのではないだろうか。

牟田発言
1. 個人を尊重する社会とは?
(1) 個で生きるについての大きな概念
(2) 個で生きる社会がなぜ必要か?
家族社会学の立場から
家族で生きる/個で生きる・・・対立概念ではない。個で生きるとは、バラバラで孤立することではない。
家族の中に役割に一生を縛られることなく家族で協力しあい、お互いに支え合って生きながらも個人の可能性を最大限生きるということ。
2. 個を尊重する社会を阻止している要因は
支え合うというより、もたれ合い頼り合わざるを得ない社会的条件、法や制度。個人の意識も大切だが、そのレベルだけではない。
女性の職業上の困難、教育や老後の大きな負担。
3. いま、どのような弊害が起き、今後どのようなシステムが必要か
日本人の家族間の歴史
「近代家族」
産業化・戦争・高度経済成長の国家目標のために
女性の補助的労働は、むしろ家族役割のもたれあいでしか成り立たない社会システムをより強化した。政治の無策。
4. 今後の課題と私たちがなすべきこと
政治への要求・チェック
地方の足元から

伊田発言
1. 個を尊重する社会とは
  (1)「個で生きる」とは・・イメージに流されない=プレ自立段階から自立段階へ
  (2)個を尊重する社会がなぜ必要か
  社会構造の変化による必要性の視点から
  @ 客観状況の変化
    a成長の限界  b階層格差の拡大  c財政赤字  d少子高齢化  e失業率
  A 結婚・家族にかかわって
    非婚化 生涯未婚率 晩婚化 一人世帯 離婚 少子化 性役割意識の変化
    専業主婦世帯の減少 女性の社会進出
  B 主体の変化:欲求水準の高度化
    a貧しさ対策の春闘 b男の長時間社会人間 c女性差別 パート差別
    d家庭内の女性の不満 女性の高学歴化 e多様な人生スタイル、人権概念の進展

2. 個を尊重する社会を阻止している要因は?
  家族単位型システムのどこが差別的で問題があるのか説明
  制度・社会構造の面 家族単位発想での男性基準化
  自分の内面の要因  幸せ像=標準・結婚、恋愛、仲間関係、美
          プレ自立段階=<孤独>嫌い・共同体主義
3. 今後どんなシステムが必要か?
  基本の考え ジェンダー2分法を乗り越えてのシングル単位
           個<孤独>=自立+つながり
           シングル単位社会=北欧型・新社会民主主義
  制度:家庭 労働 働き型 労働時間 賃金 社会保障・福祉 税
4. 今後の課題とわたしたち(参加者)がなすべきこと
  シングル単位社会にするにはどうしたらよいか
  自分たちの内面の問題
  運動の方向  啓発主義から  「新しい人権論」の段階と運動
                 多様性、エンパワメント、(スピリチュアリティ)

国広発言
「男女共同参画審議議会」答申 1996.7
性別による偏りのない社会システムの構築の具体的取り組み。妻を夫の被扶養者として位置づける税制、国民年金制度や健康保険、企業の配偶者手当の見直し
「男女共同参画2000年プラン」1996.12
税制、社会保険制度、賃金制度等個人のライフスタイルの選択にかかわる社会制度を中立性等の観点から総合的に検討
「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金のあり方に関する検討会」報告書
「女性自身の貢献がみのる年金制度」

* 基本的視点
  個人の多様な選択に中立的な制度の構築・年金の支えてを増やしていく方向・女性に対する年金保障  の充実
* 社会保険制度としての基本的論点
  個人単位と世帯単位/応能負担と応益負担/「公平性」の確保

具体的課題
「共働きモデル」へ/短時間労働者への厚生年金の適用/第3号被保険者制度/育児期間等に係わる配慮措置/離婚時の年金分担/遺族年金制度/
2.国民年金被保険者の構成(平成10年3月末)  単位万人
    1号被保険者    2号      3号
男性   997    2565       4
女性  1045    1261    1178

3.年金額
 (1)高齢厚生年金新規裁定の平均金額(平成9年度)
    全体 17万5千円 / 男性 19万6千円 / 女性 10万4千円
 (2)厚生年金保険の受給者(被保険者期間20年以上)の年金月額(平成10年度)
    男性 200,490円 / 女性 115,109円
 (3)年金裁定の基準となる標準報酬月額の平均(平成10年度)
    全体 316,146円 / 一般男子 363,777円/ 女性 218,915円
 (4)厚生年金 老齢年金月額の階級別分布(平成8年度末)

女性のライフスタイルの変化等に対応した年金のあり方に関する検討会報告書のあらまし
報告書の性格
* 検討会で行った女性と年金をめぐる議論について、その基本的な考え方や論点について整理したも の
* 今後の本格的かつ国民的な議論に資する
 ライフスタイルが多様化している女性と年金制度との間に存在する問題(女性と年金問題とは)
* 女性のライフスタイルの多様化と標準的な年金(モデル年金)の考え方の乖離・標準的な年金(モ デル年金)の考え方}

* 被用者年金への加入期間の短さ、低賃金に伴い相対的に低い水準にとどまる女性の年金
    (短時間労働者等に対する厚生年金の適用、育児期間等に係る配慮措置)
* 様々なライフスタイルを選択する女性の間での不公平感(第3号被保険者制度、遺族年金制度)
*女性の長い老後期間に対する保障   (離婚時の年金分割、遺族年金制度)
  目指すべき方向  (目指すべき方向と基本的な3つの視点)
  女性自身の貢献がみのる制度
  男女が家族的責任を果たしつつ様々な形で就労したことが出来るだけ年金制度上評価され、それ  に応じて老後の自立生活を支える年金が充実していく方向を展望

基本的な3つの視点・女性と年金をめぐる問題については、以下の基本的な視点に立って改善を図ることが適切
1. 個人の多様な選択に中立的な制度の構築 2. 年金の支え手を増やしていく方向
3. 女性に対する年金保障の充実

社会保障制度としての基本的論点・社会保障制度としての年金制度において大きな価値判断を伴う制度体系の基本に係わる論点
1. 個人単位と世帯単位 2. 応能負担と応益負担 3. 「公平性」の確保

年金制度設計上検討していくべき具体的な6つの課題
1 標準的な年金(モデル年金)の考え方・女性の一定の厚生年金加入期間を前提としたいわゆる「  共働きモデル」を想定していくことが適切
2 短時間労働者等に対する厚生年金の適用・多様な形態での就労を通じて年金保障の充実を図るこ  とが出来るようにするとともに、年金制度の支え手を増やす観点から、厚生年金の適用について  は、拡大をはかる方向で、様々な論点について検討していくべき
3 第3号被保険者制度・社会保障制度としての年金制度の基本に関わる大きな問題。必要な改革が  行われることを強く希望。そのためには、国民各階各層の間で、この報告書における議論の整理  と問題提起をスタートラインとして幅広い議論が繰り広げられ、国民的合意が形成され、適切な  結論が見出されることを希求
4 育児期間等に係る配慮措置・女性が多様な就労を通じて自らの年金保障の充実を図るという方向  性の中で年金制度としてどのような配慮を行うことが適当かどうかという点について検討すべき
5 離婚時の年金分割・離婚時の年金分割が可能となるような仕組みを講ずる方向で、専門的、技術  的な多くの論点について十分な検討を重ねるべき
6 遺族年金制度・共働き世帯と方働き世帯との間の均衡を図る、自ら働いて保険料を納付したこと  が出来る限り給付に反映する仕組みとする等の観点から、見直しに向けて綿密に議論していくこ  とが必要

終わりに
1. 国民的議論が求められる
2. 現行制度からの円滑な移行と長期的な視点が必要である
3. 他の政策分野も含めた総合的な対応が求められる
@女性の就労支援策等 A少子化対策の推進
B健康保険制度、税制、企業の配偶者手当の問題についての検討

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